2011年3月11日、東日本を未曾有の大地震が襲い、沿岸部は津波で甚大な被害を受けました。
この大震災をきっかけに、被災地支援を目的とした人々が集まり
ふんばろう東日本支援プロジェクト」(以下ふんばろう)が立ち上がり、被災地の状況に応じた様々な支援を行なってきました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA2011年8月。被災地における「生き甲斐支援」が必要と感じたふんばろうのメンバーが、南三陸でハンドメイドのワークショップを企画しました。手仕事をしている間は そのことに熱中できるので、嫌な事を思い出さずにすみ、またみんなで集まることが新しいコミュニティを作るきっかけにもなります。そうして企画されたいくつかのハンドメイドワークショップのうちのひとつが、布ぞうり作りの講習会でした。横須賀の布ぞうり工房「コットンビーズ」の先生が、布ぞうりワークショップを開催してくれたのです。

この講習会に参加した女性が布ぞうりに興味を持ち、「上手くなったらこれを販売してみたい」と話したことから、ふんばろう内に布ぞうり作りを支援するプロジェクトが立ち上がります。彼女たちは「南三陸ふっくら会」という布ぞうりの会を作り、熱心に布ぞうりを勉強しはじめました。

そしてめきめき腕を上げ、年末には“南三陸ふっくら布ぞうり”として販売ができるようになりました。2012年の1月には宮本亜門氏の御厚意により、シアタークリエで行われたミュージカル「アイ・ガット・マーマン」のロビーにて布ぞうりを販売。入荷するとたちまち完売!という人気商品となりました。

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ちょうどその頃、陸前高田から布ぞうりの講習会を開いてほしいとの声がふんばろうに届きました。陸前高田で最後にできたという太田仮設。小さな仮設でほとんど 支援が入らず、住民のみなさんが部屋にこもってしまっている。集会所に集まって、何か手仕事にできるワークショップを探しており、ぜひ布ぞうりをやりたいとのこと。そして 1/21、初めて陸前高田で布ぞうりの講習会を行いました。他の仮設と違い、一世帯分しかない小さな集会所。そこに 15 人ものおかあさんたちが集まり、熱心に布ぞうりの講習を受けました。「久しぶりに集中した!」「こういうことがないと、なかなか話すこともなかったもんねー」すごい熱気で、真冬にも関わらず暖房がいらないほど!それ以来、集会所に布ぞうりの材料を置かせてもらい、みんなで布ぞうりを編むようになりました。「布ぞうりを編んでいるときは、いやなことも忘れられる」「次はどんな色にしよう、どんな布ぞうりを作ろう、と考えているうちに、冬が終わっていました」「ほんとに、布ぞうりのおかげで生かされたと思ってるんです」こうして、陸前高田にも新しい布ぞうりチームができました。

その後、4月には石巻、5月には東松島で講習会を実施。2012年の年末までに南三陸・陸前高田・石巻・東松島に、合わせて25人ほどの布ぞうり職人が育ちました。そして、ベテランの編み手さんが新人さんたちにアドバイスしながら、布ぞうりの輪を広げています。