編み手インタビュー vol.4 いろいろ世田谷 Bさん:15分のスキマ時間があれば編める。介護と仕事の合間に続ける布ぞうりづくり
「ふっくら布ぞうりの会」では、さまざまな事情を抱えながらも、自分のペースで布ぞうりづくりに取り組む編み手のみなさんが活躍しています。
布ぞうりづくりに出会ったきっかけ、続けられている理由、暮らしの中で感じている変化について聞きました。
今回は、介護や仕事と両立しながら布ぞうりづくりを続けるBさんにお話を伺いました。
◆布ぞうりとの出会いは「自分で編んでみたい」から
── この「ふっくら布ぞうりの会」の活動に出会われたきっかけは?
もともとは自宅で布ぞうりを履いていました。母の友人が浴衣の生地などで編んでくださったものです。母は今は90歳で、その方ももういらっしゃらなくて、「自分で編んでみようかな」と思ったのが始まりでした。
キットのようなものを自分で用意して挑戦してみたのですが、うまく編めなくて。いろいろなYouTubeも見ましたが、自分が知りたいことがなかなか見つかりませんでした。それでインターネットで検索していたときに、Tシャツの生地で編んでいる「ふっくら布ぞうりの会」を知りました。
ただ習うだけではなく、編み手としても習得できることが書かれていて、すぐに始めました。
── それはいつ頃のことですか?
3年くらい前ですね。途中で半年ほどやっていない時期もあったので、実際には2年半ほど続けています。
最初はやったりやらなかったりで、なかなか上手になりませんでした。早い方だと1〜2年でしっかりした製品を作られていますが、私は少し時間がかかりましたね。
手を使う作業なので、年齢を重ねると無理もできません。集中して長時間編んでいると腱鞘炎になったりしますし。私の場合は、生まれたばかりの孫を抱っこすることと布ぞうりづくりで、今はダブルで腱鞘炎気味です(笑)。
◆自分のペースで続けながら、上達していける場所
── 続けていらっしゃる理由や、気に入っていることはありますか?
いちばんは、自分のペースでできるところです。
これまでいろいろな趣味をやってきましたが、作品は、作れば作るほどたまってしまいますよね。でも、この会では作ったものを販売してくださるので、次から次へと作ることができます。
それに、練習もできますし、一緒に編む仲間がいます。先輩たちが「こういうふうにしたほうがいいよ」と優しく丁寧に教えてくださるので、上達していく楽しみがあります。
体調に合わせて無理をしないように声をかけてくださるのもありがたいですね。だからこそ、遠くからでも通おうと思えますし、月2回の編み手の会には参加するようにしています。
── 活動について、気に入っている点はありますか?
面倒見がよくて、最後はきちんと一緒に形にしてくれるところです。
品質についても、はっきりコメントしてくださるところが気に入っています。趣味のサークルだと、上手にできていなくても褒め合うことがありますが、ここでは「もっとこうした方がいい」と率直に言ってくださいます。
もちろん、お客様に販売する製品を作っているので、きちんとしているのは当然ではありますが、その姿勢が信頼できると思っています。
もうひとつは、ウェブサイトがとても素敵なことです。高級感のある雰囲気の中で自分の編んだ布ぞうりを紹介してくださるので、モチベーションになっています。
◆介護と仕事のあいだに見つけた「15分の布ぞうり時間」
── 普段はどのように布ぞうりを編んでいますか?
自宅に小さな作業スペースを作っていて、朝と夜に1時間ずつ使っています。
私は老人ホームで相談員の仕事をしているので、朝から夕方までは仕事です。そして90歳と86歳の両親と一緒に暮らしていて、食事を作ったり、お風呂の時間には家にいたりと、家事サポートをしています。
一日中介護が必要なわけではありませんが、仕事以外の時間はできるだけ家にいたいんですね。ですので、家でふとスキマ時間が15分できたら編む、という感じです。朝晩とスキマ時間で、1日3時間くらいは布ぞうりの時間にあてていると思います。
── スキマ時間を使うことが、息抜きにもなっていますか?
そう思います。昼間の仕事から帰って、一日のことがひと通り終わったあとに編む時間は、頭を整理する時間になっています。今日はこんなことがあったな、と仕事を振り返ったりしています。
編み物と同じように、脳をリセットしてくれる効果があるのかもしれませんね。
── 時間の使い方に工夫がありそうですね。
例えば、今日は両親がデイサービスに行っているあいだに、ここ世田谷の編み手の会に参加しています。朝8時15分に送り出して、出かけるまで15分あったので、その時間にも編んできました。
また、両親が病院に行っているときに車の中で待ちながら、出来上がった布ぞうりの目を整える作業をすることもあります。以前は車の中にも作業セットを置いていました。
── とても効率的ですね。
そうなんです。私自身、効率的に動くのが好きなんですよね。
休みの日に材料をまとめて切っておいて平日の作業を楽にしたり、一度ミシンを出したら鼻緒を全部まとめて縫ったり。いかに時間を有効に使えるかを考えるのも、楽しみのひとつです。布ぞうりづくりは、そういう自分にも合っていたのかもしれません。
── ご家族は、布ぞうりづくりについてどのように思われていますか?
よく話題になりますね。母はオンラインショップを見ているようで、「あのぞうりはいくらで売れたの?」と気にすることもありますよ。編み手の名前が出ているので、時間があると見ているようです。
母自身も手先が器用な人なので、本当は一緒に編めたらいいなと思っているんです。「一緒に行こうよ」と誘ってはいるのですが、まだ実現していません。
◆家にいながらでも、何かをやっていたい人へ
── 今回、新しい編み手さんを募集するクラウドファンディングを行います。これから参加される方へメッセージをお願いします。
この活動は、自分のペースでできるのがいいと思います。
私の場合は介護ですが、おうちの中にいなくてはいけない人でも続けられる活動です。月に2回、1回3時間ほど集まりに参加しますが、それ以外は家の時間を活用しながら取り組めます。
私自身、作った布ぞうりに対して思っていた以上の費用をいただけるなと感じています。お小遣いにもなりますし、材料費などもほとんどかかりません。
ものを作ることが好きな方にとっては、楽しく続けられる活動ではないかと思います。
── どんな人が編み手に向いていると思いますか?
私のように、家にいながらでも何かをやっていたいという人にはいい活動だと思います。
器用じゃなくても大丈夫だと思います。昔はみんな自分で編んだ草履を履いていましたよね。勤め先の老人ホームで話題にすると、「小学生の頃からワラで編んで、自分のぞうりで学校へ行っていた」と話される方もたくさんいます。男性でもそうです。
日本人にとても合っているものだと思いますし、こうした編み方を忘れないように、覚えておくことも大事なのではないかと思っています。
インタビュー ⚫︎ 松原 朋子

